『Black Market』はウェザー・リポートの通算7作目となる作品で、1975年10月~2月にかけて録音され翌1976年4月に発売された。ジャコ・パストリアスが初めてウェザー・リポートに参加した記念すべきアルバムで、ジャコは#2《Cannon Ball》と#6《Barbary Coast》の収録に加わった。他の曲のベース・パートはアルフォンソ・ジョンソンが担っている。
ジャコが参加した2曲、#2《Cannon Ball》はジョーがかつて一緒にプレイししていたバンドリーダー、アルト・サックス奏者キャノンボール・アダレイに捧げられたもの。キャノンボール・アダレイはフロリダ出身ということもあり、この曲に同郷のベーシスト、ジャコ・パストリアスが抜擢された。#6《Barbary Coast》はジャコが幼少期から人生の大半を過ごした故郷に思いを寄せ書いた曲である。
ジャコのウェザー・リポートへの加入は、ジョーに対するジャコ自身の積極的なアプローチが功を奏したものであったが、アルフォンソは制作途中の『Black Market』の完成を見ずに脱退してしまう。制作途中の状況での主要メンバーの脱退に頭を悩ませていたところに、偶然にもデモテープを送るなどして売込みをかけていたジャコを獲得した。ジャコは以後1981年までウェザーリポートの黄金期を支えることとなる。
1975年~1976年にかけてジャコはウェザーリポートへの加入を皮切りに、パット・メセニー(g)のファース・トアルバム『Bright Size Life』への参加、自身のファース・トアルバム『Jaco Pastorius』の発表、ジョニ・ミッチェルのアルバム『Hejira』への参加、アルバート・マンゲルスドルフ(tb)とのドイツジャズ祭への参加(『Trilogue-Live!』に収録)など、無名のベーシストから一躍時の人に駆け上がったのである。
Black Market
Tracklist
- Black Market(Joe Zawinul)6:28
- Cannon Ball(Joe Zawinul)4:36
- Gibralter(Joe Zawinul)8:16
- Elegant People(Wayne Shorter)5:03
- Three Clowns(Wayne Shorter)3:31
- Barbary Coast(Jaco Pastorius)3:19
- Herandnu(Alphonso Johnson)6:36
Personnel
Wayne Shorter – selmer soprano, tenor saxophone, computone lyricon
Joe Zawinul – 2 arp 2600 synthesizer, rhodes electric piano, yamaha grand piano, oberheim polyphonic synthesizer
Jaco Pastorius – fender electric bass (tracks: #2, #5)
Alphonso Johnson – fender electric bass, charles la boe electric bass
Alejandro Neciosup Acuna – congas, percussion
Don Alias – congas, percussion (tracks: #1, #6)
Narada Michael Walden – drums (tracks: #1, #2)
Chester Thompson – ludwig drums
Notes
Recorded at Devonshire Sound, No. Hollywood, California.
Producer – Joe Zawinul
Co-producer – Wayne Shorter