Joni Mitchell / Hejira

1968年のファースト・アルバム発表から活躍していた孤高のシンガー・ソングライター、ジョニ・ミッチェルの1976年作品。彼女の通算8作目となる『Hejira』。6作目(1974年作品)の『Court And Spark』あたりからジャズに傾倒した作風が顕著になっていたが、ついにジャコ・パストリアスという強力なパートナーを得て、より自身の内面をより深く掘り下げたものとなった。

ジョニ・ミッチェルのサウンドの特徴として誰もが口を揃えていうのは彼女の奏でるギターの変則チューニングである。そこにジャコの弾くベースラインが混ざり合い、とてつもない化学変化を起こしたジョニとジャコのコラボ4作品の序章が本作である。

このアルバムに収録された全9曲のうち、ジャコは#1、#5、#7、#9の4曲で演奏した(ベーシストはジャコのほかマックス・ベネットが2曲、チャック・ドマニコが1曲でアシストしている)。ベース・ソロはなく完全に伴奏なのだが、ジャコのベースはジョニミッチェルの音世界を自由に泳ぐように自由であり聴く者を飽きさせることはない。

ヴォーカル&ギター、ベース、パーカッションのシンプルな編成ながらフレットレス・ベースのハーモニクスが奏効した#1《Cyote》。アルバム・タイトル#5《Hejira》は4人の演奏だが、ジョニ・ミッチェルとジャコのフレットレス・ベースのデュオといってもいいほどの濃密な演奏。ジャコのハーモニクスで不穏な空気が漂う#7《Black Crow》はジョニとジャコにラリー・カールトンのロック・テイストなギターが絡む。ラストの#9《Refuge Of The Roads》はジャコのベースがバック・コーラスのような歌心溢れるプレイが光る。

本作にはジャズ畑からのサポートメンバーとして、ラリー・カールトン(g)、トム・スコット(sax)、ヴィクター・フェルドマン(vib)といったジャズ・プレイヤーが参加している。#3《Furry Sings The Blues》にはニール・ヤングがハーモニカで参加している。

ジョニ・ミッチェルは1943年カナダ・アルバータ州生まれ。音楽活動地元の美術大学に進学しており、その才能は本作のジャケット・アートワークに表れている。またシンガーとしてソング・ライターとしてその高い芸術性と音楽性で多くのリスペクトを集めるミュージシャンズミュージシャンといえるだろう。

個人的にジャコのベスト・アルバムはどれか?と問われれば(ジャコ名義のファースト・アルバムとセカンド・アルバムはもちろん素晴らしいのだが)あえて、ジョニミッチェルとの4作品と言いたい。

Hejira

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Tracklist

  1. Coyote 5:00
  2. Amelia 6:00
  3. Furry Sings The Blues 5:03
  4. A Strange Boy 4:15
  5. Hejira 6:35
  6. Song For Sharon 8:30
  7. Black Crow 4:20
  8. Blue Motel Room 5:03
  9. Refuge Of The Roads 6:37

Personnel

1. Coyote
Joni Mitchell – vocal, rhythm guitar
Jaco Pastorius – bass
Larry Carlton – lead guitar
Bobbye Hall – percussion

2. Amelia
Joni Mitchell – vocal, rhythm guitar
Larry Carlton – lead guitar
Victor Feldman – vibes

3. Furry Sings The Blues
Joni Mitchell – vocal, guitar
Max Bennett – bass
Neil Young – harmonica
John Guerin – drums

4. A Strange Boy
Joni Mitchell – vocal, rhythm guitar
Larry Carlton – lead guitar
Bobbye Hall – percussion

5. Hejira
Joni Mitchell – vocal, guitar
Jaco Pastorius – bass
Abe Most – clarinet
Bobbye Hall – percussion

6. Song For Sharon
Max Bennett – bass
John Guerin – drums
Joni Mitchell – vocals & guitar

7. Black Crow
Joni Mitchell – vocal, rhythm guitar
Jaco Pastorius – bass
Larry Carlton – lead guitar

8. Blue Motel Room
Joni Mitchell – vocal, electric guitar
Chuck Domanico – bass
John Guerin – drums
Larry Carlton – acoustic buitar

9. Refuge Of The Roads
Joni Mitchell – vocal, guitar
Jaco Pastorius – bass
John Guerin – drums
Chuck Findley & Tom Scott – horns

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