ジョニ・ミッチェルが1979年に発表した通算10作目。ジャズ界のレジェンド、ベーシストのチャールズ・ミンガスに捧げた作品。ジャコとのコラボは『Hejira(1976年)』、『Don Juans Reckless Daughter(1977年)』に続く3作品目となる。
『Mingus』はイギリス人の劇作家、トマス・スターンズ・エリオットの詩にミンガスが曲をつけジョニが朗読する企画だったが、ミンガスの曲にジョニ・ミッチェルが新たに詩を付けて歌うものに変更されたという。しかし、制作中の1979年にミンガスが他界したため、ミンガスへの追悼作品としてリリースされた。
『Mingus』に参加しているのはジャコのほか、ハービー・ハンコック(p)、ウェイン・ショーター(sax)、ピーター・アースキン(ds)、ドン・アライアス(per)。全員がジャズ・ミュージシャンでありジャコ人脈。
#9《The Dry Cleaner From Des Moines》は、ジャコの晩年のレパートリーであった《Fannie Mae》のホーン・アレンジと同じで、ジャコは自身のアルバムより先にこのアレンジを提供していたことになる(このブラス・セクションのプレーヤについて詳細なデータは不明)。
全11曲中ミンガスが4曲、ジョニが2曲を収録。曲の合間にミンガス夫人(スー)が録音していた夫との会話が挿入されている。音楽作品ではあるが、ミンガスへの惜別を込めたドキュメンタリータッチな側面も垣間見える。収録内容も素晴らしいがアルバム・ジャケットのアートワークも実に良い。これらは全てジョニ自身のペインティングによるもの。
私自身、#2《God Must Be A Boogie Man》のフレットレス・ベースを聴いてジャコ・パストリアスに目覚めたクチで『Mingus』についてはとても思い入れが強い。このアルバムを聴いていると、初めてジャコのベース音に触れた瞬間が鮮明に思い出される。
Mingus
Tracklist
- Happy Birthday 1975 (Rap) 0:58
- God Must Be A Boogie Man (Joni Mitchell) 4:39
- Funeral (Rap) 1:08
- A Chair In The Sky (Charles Mingus) 6:46
- The Wolf That Lives In Lindsey (Joni Mitchell) 6:38
- I’s A Muggin’ (Rap) 0:08
- Sweet Sucker Dance (Charles Mingus) 8:10
- Coin In The Pocket (Rap) 0:12
- The Dry Cleaner From Des Moines (Charles Mingus) 3:25
- Lucky (Rap) 0:04
- Goodbye Pork Pie Hat (Charles Mingus) 5:39
Personnel
Jaco Pastorius – bass, horns arrangement (track 9)
Don Alias – congas
Peter Erskine – drums
Herbie Hancock – electric piano
Joni Mitchell – guitar, vocals
Wayne Shorter – soprano saxophone
Featuring Charles Mingus
Notes
Recorded at A&M Studios in Hollywood
Additional recordings at Electric Lady Studios in New York