Weather Report / 8:30

Weather Report / 8:30

ウェザー・リポート通算9作目のアルバム『8:30』。タイトルは当時のウェザーリポートの公演が午後8時30分から始まっていたことに由来する。初版はもちろんアナログ盤で2枚組だったが、初CD化されたときは《Scarlet Woman》をカットした1CDであった。現在は初版に忠実な2枚に改められたものが流通している。収録内容は1978年9月のドイツ、オッフェンバッハで行われたライブ音源9曲とスタジオ録音の4曲。

Disc-1のオープニング《Black Market》はアルフォンソ・ジョンソンがベースを弾いたスタジオ収録バージョンよりもアップ・テンポで、ジャコの粒立ちの良いバッキングもバッチリ聴き取れる。《Teen Town》もかなりの高速チューンで、ウェイン・ショーターのソプラノがスピリチュアル。曲の終盤はディストーションを効かせたベースがなんともカッコ良い!!《A Remark You Made》では『Heavy Weather』収録バージョンをトレースするフレットレス・ベースとテナー・サックスのテーマと、ジョー・ザヴィヌルのシンプルな旋律が感動的だ。

このアルバムのハイライトでもあるジャコの独奏《Slang》。自身のベース音をサンプリングしてディレイ・マシンでループさせ、その上にへジミ・ヘンドリックスの《Third Stone from the Sun》や地震の曲《Continuum》を乗せたベース・ソロ。後のジャコの運命を象徴しているようにも感じられどこか痛々しく聞こえてしまう。
ライヴ音源として収録された《Birdland》は実によくスイングしている。ウェインはソプラノとテナーを使い分け、ジャコはコーラスも披露。ジョーは生前のインタビューで『8:30』収録のバージョンがベストと答えている。ライヴ音源の締め括りとなる《Badia/Boogie Woogie Waltz Medley》はこのバンドを象徴する曲として当時のライヴでは必ず演目に入っていた。ジャコ&ピーターの高速リズムと対峙するかのようなジョー&ウェインのソロ。曲の終盤は狂乱の盛り上がりの中、列車の通過音エフェクトで幕を下ろす。

本作は『Black Market』以降、正メンバーとなって、ウェザーリポート史上最大のヒットとなった『Heavy Weather』と次作『Mr. Gone』を引っ提げてのライヴということで、実際には20曲近くを演奏し2時間余りの長尺のステージだった。その全貌は後に別タイトルの映像版がリリースされているので、そちらも必見といえよう。
前後するが、ジョーとウェインのデュオ《In A Silent Way》やウェインの独奏《Thanks For The Memories》は、ジャコとピーターのリズム隊に休憩を与えるための余興といった位置付けだった。またアルバム後半のスタジオ録音パートはアナログ時代に2枚組LPにしたとき、2枚目の片面だけが余るために入れたセッションだったという。

8:30

8:30

Weather Report (Columbia)

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Tracklist

Disc-1

  1. Black Market (Joe Zawinul) 9:50
  2. Scarlet Woman (Alphonso Johnson, Joe Zawinul, Wayne Shorter) 8:43
  3. Teen Town (Jaco Pastorius) 6:07
  4. A Remark You Made (Joe Zawinul) 8:03
  5. Slang (Bass Solo) (Jaco Pastorius) 4:46
  6. In A Silent Way (Joe Zawinul) 2:51

Disc-2

  1. Birdland (Joe Zawinul) 7:18
  2. Thanks For The Memory (Tenor Sax Solo) (Leo Robin, Ralph Rainger) 3:35
  3. Badia / Boogie Woogie Waltz Medley (Joe Zawinul) 9:31
  4. 8:30 (Joe Zawinul) 2:37
  5. Brown Street (Joe Zawinul, Wayne Shorter) 8:36
  6. The Orphan (Joe Zawinul) 3:16
  7. Sightseeing (Wayne Shorter) 5:35

Personnel

Wayne Shorter – tenor sax, soprano sax
Joe Zawinul – electric piano, acoustic piano, arp synthesizer , oberheim polyphonic synthesizer, korg vocoder
Jaco Pastorius – electric bass, drums on “8:30”, “Brown Street”
Peter Erskine – drums, percussion
Erich Zawinul – percussion on “Brown Street”
West Los Angeles Christian Academy Children’s Choir – chorus on “The Orphan”

Notes

Recorded at stadthalle offenbach, september 29, 1978
Producer – Joe Zawinul
Co-producer – Jaco Pastorius

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