ウェザー・リポートが結成11年目にデビュー作と同じタイトルをつけてリリースした通算11作目の『Weather Report (’81)』。リリースは翌1982年。ジョー・ザヴィヌルが《Dara Factor Two》以外のすべての曲を書き、ホーンやストリングスのオーケストレーションの全てをシンセサイザーで再現しているという。プロデュースもジョーが一人で行った(ジャコはアシスタント・プロデューサーに格下げとなっている)。
当時のWRのレコディングというのは、スタジオに入ったら“リハーサル”とか“本番”とかの区別はまったくなく、ともかく一日中演奏し、それをすべてレコーディングし、その中から抜粋・編集していたものをアルバムに収録していたそうだ。
───91年リリースのCDライナー
全体を通しで聴いても緻密な計算のもとで作られたというより、リハーサルセッション的に聞こえてしまう曲が多い印象。ウェイン・ショーターの影も薄いが、ジャコに至ってはまともなソロ・スペースが与えられているのは《N.Y.C.: Part2》くらいである。
本作が録音された1981年、ウェザー・リポートはCBS傘下のARCレーベルと契約していた。ジャコもまたCBSレーベル傘下のEPICレーベルと契約していたが、ライバル会社ワーナー・ブラザーズへ移籍し、ソロ・プロジェクト(Word of Mouth)の制作に入っている。ウェインもソロ活動が多くなり、メンバー全員が揃ってツアーに出ることもままならない状況に陥っていた。
『Weather Report (’81)』はジャコ参加のウェザー・リポート作品としての最終作となったが、ピーター・アースキン(ds)、ロバート(ボビー)トーマスjr.も本作をもってウェザー・リポートを“卒業”した。
Weather Report (’81)
Tracklist
- Volcano for Hire (Josef Zavinul) 5:26
- Current Affairs (Josef Zavinul) 5:55
- N.Y.C. (Josef Zavinul) 10:10
Part 1: 41st Parallelz
Part 2: The Dance
Part 3: Crazy About Jazz - Dara Factor One (Josef Zavinul) 5:26
- When It Was Now (Wayne Shorter) 4:46
- Speechless (Josef Zavinul) 5:58
- Dara Factor Two (Josef Zavinul, Wayne Shorter, Jaco Pastorius, Peter Erskine, Robert Thomas Jr.) 4:28
Personnel
Josef Zavinul – keyboard, percussion
Wayne Shorter – tenor and soprano sax
Jaco Pastorius – electric bass, percussion,voice
Peter Erskine – drums, drum, computer, claves, voice
Robert Thomas Jr. – hand drums, tambourines